OKINAWA
CLOSE-UP FOODS
とは
沖縄で生産される
希少価値の高い食材を見いだし、
多くの人に知ってもらうことで、
沖縄の「食」の未来をつくること。
そして、沖縄ならではの地域資源を創造し、
地域に貢献するプロジェクトです。
ロゴマークに
ついて
本プロジェクトでは、OKINAWA CLOSE-UP FOODSを
象徴するものとしてロゴマークを開発。
日本国内はもちろんのことアジアへと展開する
「新しいブランド」の証として
生産者や食品メーカーが使えるロゴマークです。
※ロゴマークの詳しい使用条件などはinfo@okinawa-closeupfoods.comに
お問い合わせください。
3つの
OKINAWA
CLOSE-UP FOODS
沖縄の暖かい気候だからこそ生産できる「希少な」食材たち。
流通している量はごくわずか。
県外にはその存在はほとんど知られていません。
だからこそ、もっと知ってもらって、
その価値やおいしさを知ってほしい。
今回は、コーヒー、バニラ、そしてバナナを
クローズアップしています。
各産地から世界中に輸出されている、愛飲者の多いコーヒー。
栽培されたコーヒーが同じ地で焙煎されて一杯のコーヒーとなるのは
世界を探してもほとんど見かけない、とても貴重なことです。
それが可能な沖縄で、今までにないコーヒーづくりが行われています。
基本のこと
飲んでいるのは“種子”
コーヒーの木の苗を植えてから3年ほどで花が咲き、その後に実をつけて熟したものから手で摘みます。ただし、販売できるしっかりとした実をつけるまでに5年ほどかかります。沖縄での開花時期は、品種によって異なりますが2月下旬から6月までで、花はジャスミンのような香りです。2日程度で散ってから、約半年後に収穫を迎えます。収穫した実はまるで果物のような見た目ですが含まれる果肉はわずかで、真ん中にある種子(生豆)が加工されておなじみのコーヒーになります。
精製方法の違いで
味や香りが変わる!
コーヒーの果実がコーヒーとして飲めるようになるまでにはいくつもの工程を経る必要があり、果実を精製して生豆にした後、焙煎、粉砕して、湯や水で抽出してからようやく飲める状態になります。果実から生豆を取り出す一連の工程のことを精製と言い、収穫後のコーヒー果実の皮を手でむくと出てくるヌルヌルとした粘質物(ミューシレージ)を取り除き、さらにパーチメントと呼ばれる内果皮を脱穀して生豆を取り出す作業が必要です。
この精製には「ウォッシュド」「ナチュラル」「ハニー」と呼ばれる方法があり、それぞれの工程の違いによって生豆の味や成分が変わってくることから、理想の豆にするために生産者は精製にこだわっています。いずれの方法でも微生物の作用で発酵が起こることで、コーヒーの香りや味わいに違いを生むと言われています。
ウォッシュド :外皮・果肉を取り除いた後、水中で粘質物を取り除き、乾燥させて脱穀する。クリアな味わい。
ナチュラル:収穫後、そのまま乾燥させて脱穀。フルーティな味わい。
ハニー(パルプドナチュラル):外皮・果肉を取り除いた後、粘質物を残した状態で乾燥させて脱穀する。
クリアでフルーティな味わい。
生産者の声
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中山コーヒー園岸本辰巳さん
- 展開の仕方次第で可能性がある
- 13年前に約300本の苗木からスタートして、現在11年目で13品種を約2000本栽培。メインで栽培するのは、ティピカ、イエローブルボン、ムンドノーボの3種類です。これまでに東京、愛知、大阪、イギリス・ロンドンのショップなどに販売してきました。台風の影響で収量が左右されることから、経営を安定させるために生豆販売だけではなく、コーヒーの収穫と焙煎が体験できるツアーも実施しています。県外や海外からの参加者も数多く、栽培の様子を実際に見て感動してくださいます。
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又吉コーヒー園又吉拓之さん
- 消費国だからこそできることを
- 2014年から約100本で栽培を始めて、現在は約2000本に。以前はバラを栽培していましたが、無農薬栽培に切り替えることを考えてコーヒーを選びました。イエローブルボンを中心に5品種を栽培して、収穫時の天候や豆の状態に合わせた精製を行っています。甘みがあり、すっきりしている味わいが特徴です。体験農園にも力を入れており、コーヒー関係の仕事の方、若い方にも人気です。生産に伴う労働力も含めたコーヒーの世界について、体験を通じて少しでも理解が進めばと思っています。
生産者と消費者の顔が見える
琉球大学農学部 亜熱帯生物資源科学科 教授平良東紀さん
2020年の聞き取り調査によると、沖縄県内の栽培者は50人程度、出荷可能な年間生産量もごくわずかです。これまでは生産性が重視されていましたが、現在の世界のコーヒートレンドは高品質・高付加価値の生豆を高価格で販売するという方向性に変わりました。中小農園の生産者がコンテストでの上位入賞を目指して、品種、栽培方法、精製方法などに工夫を凝らしている状況です。これまでに県内の3農園が、高品質の証であるスペシャルティコーヒーに認められています。
世界では生産地と消費地が離れていますが、お互いの顔が見えることは重要なことです。他の産地と沖縄が大きく異なるのは、生産から焙煎、販売までが同じ土地であること。しかも、沖縄の優れたロースター、鑑定士が生産者にフィードバックすることで、消費者に好まれる沖縄らしさを追求することができます。北緯26度、標高差の少ない沖縄で、これまでにない特徴のコーヒーが生み出される可能性が考えられます。
おいしい食べ方、
食材としての魅力
“Soil to Cup”(土からカップまで)を
表現できる沖縄
2022年にスペシャルティコーヒーに認定された、名護市の『振慶名コーヒー園』宮城禎明さんの生豆を買い取り、こちらで焙煎・抽出して提供しています。農園に出向いて土や木に触れて、生産者と会話をするのはとても重要です。農産物である生豆を焙煎する際に繊細な調整を行って、最高の豆に仕上げることができます。また、高品質なコーヒーとは何かを私から伝えることで、宮城さん自身の栽培にも影響を与えているようです。
宮城さんのコーヒーからは、黒糖、スイカ、レモンなどの味わいが感じられます。それは、植物が土の微生物やミネラルを共有するからで、ワインのテロワールに似ています。沖縄のコーヒー文化を生産者と共に発信していきたいです。
沖縄コーヒーを
加工した商品をご紹介
魅力を余すことなく
伝えるコーヒー商品
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ちんすこうrokkan COFFEE CREATORS
コーヒーの果実の皮と果肉の部分を乾燥させたカスカラ。これを粉砕したものや、コーヒーの花の蜜からできたハチミツを使ってできた、沖縄の伝統菓子「ちんすこう」です。これにはもちろん沖縄コーヒーが合います。1000円。
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コーヒーリーフティー、
コーヒーブレンドティー、
コーヒーチェリーティー中山コーヒー園リーフティーはコーヒーの葉、チェリーティーはコーヒーの果実の皮と果肉が原料で、これらを乾燥・焙煎してお茶にしました。ブレンドティーはそれぞれをブレンド。コーヒーの木からの頂き物を余すことなく。7パック入り各1000円。
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コーヒー豆収穫体験又吉コーヒー園
コーヒーの木から果実を手摘みするところから、果実から種子を取り出す精製、生豆の焙煎、豆をミルでひいてドリップするまでの一連の工程を体験できます。実施期間は収穫期の11月から翌年4月まで。150分8800円。
サフランの次に高価なスパイスと言われている、バニラ。
世界的に価格が高騰しているなか、国産で安全安心なものが欲しい!
という声が上がり、栽培が可能な沖縄への期待も高まっています。
なじみがあるけれど知られていないバニラについて紹介します。
基本のこと
人工授粉の発見で世界へ!
一見するとインゲンマメのようなバニラは、メキシコ東南部から中南米熱帯地域に分布する、常緑のつる性植物です。沖縄では直射日光を避けて、遮光できる環境で栽培します。日本には花粉を媒介する昆虫がいないため、人の手で授粉する必要があります。午前中に作業しないと実をつけることができないそう! この人工授粉のおかげで原産地メキシコから産地が世界に広がり、マダガスカル、インドネシア、中国でも生産されています。
香りを左右する
キュアリング。
バニラの甘い香りは主にバニリンと呼ばれる成分で、ほかにもさまざまな風味が含まれています。この成分を引き出すには、「キュアリング」と呼ばれる発酵・熟成の工程が重要です。収穫後バニラビーンズが裂けないよう湯に浸けて成長を止め、水分が抜けるまで天日干し、陰干しを繰り返し、木箱などに入れて香りを安定させます。微妙なさじ加減でバニラの香りが変わってくるため、キュアリングをどう行うのか生産者の腕の見せどころです。
生産者の声
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石垣島バニラ金城美沙江さん
- 生産農家をもっと増やしたい
- 沖縄で栽培者がおらず、可能性のある作物だと聞いてバニラに興味を持ち、2012年から石垣島で取り組み始めました。安全安心なものを作りたいと無農薬で栽培し、現在は216平方メートルで約500本を育てています。前例がないために栽培でもキュアリングでも試行錯誤しましたが、多くの方の協力を受けてやさしい香りの沖縄らしいバニラを2019年から販売できるようになりました。世界的に需要が高いのに現在生産が追いついていないため、生産農家をもっと増やしたいです。
沖縄の課題を解決する農作物
沖縄県立北部農林高等学校 教頭船越秀輝さん
バニラはラン科のつる性植物で栽培を始めやすいのが特徴です。平張りハウス (防風ネットで覆った施設)、防風林等で台風対策や遮光ができ、比較的初期投資が少なくて済みます。時期によっては毎日の管理も必要なく、ハウスの組み立て等の準備以外は軽作業が主です。開花時期の受粉作業や収穫作業など時期的な制約がありますが、副業としてや定年後に農業に取り組みたい人も向いているのではないかと思います。
沖縄は島しょ県ゆえ、農産物の輸送コストの問題や台風による物流への影響が懸念されますが、青果ではないバニラはその点において好都合です。現在は需要に対して供給が間に合わない上に国産品はほぼないため、バニラの生産は沖縄の農業の可能性を広げてくれると感じています。課題は、効率的な受粉作業(3~6 月)と香りづけのキュアリング作業です。生産農家を増やしつつ、まとめてキュアリングを行うセンターの設置も今後必要だと思います。
おいしい食べ方、
食材としての魅力
沖縄産バニラを生かす
素材の選び方を
MantaFrog GateWay﨑山秀美さん
石垣島、八重山諸島、沖縄の厳選された食材を使い、保存料などは使わずにお菓子を作っています。現在、石垣島産バニラを使用しているのは、サブレ2種、ブルトンヌ2種、フィナンシェ1種の計5種類。そのうちの1つ「バニラマンタ」は、第26回沖縄県商工会特産品コンテスト(2023年)で奨励賞を受賞しました。
これらのお菓子を作る際のポイントは、バニラの上品な香りを引き出すためにさやを潰して丸ごと使うこと。さらには、この香りが生きるような素材を選び、その素材の全てが調和するように生地を作っていくこと。製造に多様な人々が関わり、それぞれのこだわりが発揮されることで、本物の味わいが生み出されています。
沖縄バニラを
加工した商品をご紹介
上品な甘い香りに包まれる
バニラ製品
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バニラマンタMantaFrog GateWay
石垣島に多く生息するマンタの形の厚みのあるサブレ。石垣島産のバニラをぜいたくに使い、食べ進めるごとにバニラの甘い香りに包まれます。昔ながらの製法でつくられた石垣島産の塩もアクセントに。6枚入り1200円。
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バニラシュガー石垣島バニラ
石垣島産バニラの甘い香りのあるシュガー。味は変わらないのに規格外になってしまったバニラから生まれた商品。手作りプリンのほか、そのままトーストにトッピングしたり、ミルクティーやコーヒーにプラスしたり。50g600円。
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バニラ・デ・サンタマリア伊江島物産センター
伊江島産のサトウキビから造られたゴールドラムに石垣島産バニラを漬け込んだ、純国産バニラエッセンス。さわやかなバニラと甘くまろやかなラム酒の香りが広がります。デザートの香りづけやカクテルにも。5㎖1000円。
誰もが大好きなバナナ! でもそのほとんどが1つの種類の海外産です。
実は高温多湿の沖縄で、小ぶりで味わい深いバナナが栽培されています。
まだまだ知られていない沖縄のバナナには魅力がたくさん!
その栽培の様子から活用の仕方まで、バナナを深掘りします。
基本のこと
1年中食べられる
バナナは高温多湿な環境を好む熱帯植物です。生育適温は27度で、10度を下回ると生育がストップします。よって、平均気温23度の沖縄は、バナナの生育に適した環境なのです。1年を通じて収穫可能で、収穫時期によって微妙に味わいが異なる面白さもあります。しかし、バナナは木ではなく草(多年草)なので風に弱く、沖縄では台風の影響を受けやすいのが難点。ハウス栽培のほか、防風林や防風壁の設置、バナナを群生させて風から守るなど、台風対策が重要になってきます。
食べているのは
雌花が咲いた後の果実
この紫色の大きな筆のような形のものは、バナナのつぼみです。つぼみの中には雄しべが幾層もついています。通称「バナナハート」と呼ばれて、東南アジアでは野菜として料理に用いられます。また、この垂れ下がるつぼみの上の方にバナナが実ります。これは雌花が先に咲いて、雌花の下にあった果実が大きくなったもので、バナナの先についている黒いものは咲き終えた雌花の残りです。バナナは雄しべと雌しべがあっても受粉せずに実をつける、不思議な植物なのです。
インパクト大の
全房「バンチ」!
お店やマーケットで見かけるバナナは房の状態ですが、全部の房がついている“バンチ”での購入ができる農園もあります。ぐしちゃん銀バナナ農園では、企業の開店祝いや、幼稚園・保育園での食育活動のほか、通所介護施設(デイサービス)でバナナをもぎって沖縄を体感したいという目的で購入された例もあるそう。100本以上バナナがついているバンチは見た目のインパクト大で、SNSなどに写真をアップしたら話題になること間違いなし。新しいギフトとしても喜ばれそうです。
生産者の声
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糸満フルーツ園 けんちゃん 上原賢祐さん
- 情報発信をしながら栽培
- 300坪の畑で主に島バナナ(小笠原種)とアイスクリームバナナ(調理用バナナ)を4年前から栽培しています。バナナの特性を知ることが好きで、畑に40品種ほどあります。なるべく自然の力を借りて生産性を上げることに取り組み、肥料はやらずに枯れ草を株の周りに寄せる作業を行うくらい。株の乾燥防止になりつつ、その草が分解されていずれ肥料になります。あまり手をかけないのは、家族との時間を確保するため。積極的に情報発信を行って、そのファンの方々に個人販売しています。
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ぐしちゃん銀バナナ農園久保文乃さん
- バナナの価値を上げたい!
- 父が30年前から栽培を始めて、10年前に銀バナナ1種に限定しました。ナムア系品種で糖度が30度以上ありながらもほのかな酸味があり、もっちりとした食感が特徴です。背丈が高くて台風の影響を受けやすいのが難点ですが、味にほれ込みました。私が3年前から生産に加ってからは、ギフト用販売に力を入れています。輸送に耐えつつも到着後にちょうど良い追熟を迎えるタイミングでバナナを収穫し、洗って乾かしてからオリジナルボックスで送付。バナナの価値を上げていきたいです。
バナナを沖縄農業の救世主に
琉球大学農学部 亜熱帯地域農学科 准教授仲村一郎さん
日本でよく見かけるキャベンディッシュという品種とは異なる、いろいろな品種が沖縄で栽培されています。その一つが小笠原種と言われている島バナナ。小さくて皮が薄く、甘みと酸味を持ち合わせたバランスの取れた味わいが特徴です。とてもおいしいのに市場にほとんど出回っていないため、もっと増やしたい思いで研究に取り組んでいます。背丈のある島バナナは風に弱く、台風が多い沖縄では栽培が難しいので、背丈の低い島バナナに品種改良することが研究目標です。ほとんどのバナナは三倍体で、種子で増えることはなく、株の脇から出てくる新芽をとって増やしていきます。種子ができないため、交配による育種が難しいですが、別の方法で時間をかけて取り組んでいくつもりです。
バナナは基本的に栽培に手がかからない作物です。群生してしまえば、除草にもそれほど労力は要りません。高価格で市場に出せるようになれば、沖縄の農業の救世主になるのではと思っています。
おいしい食べ方、
食材としての魅力
バナナは可能性がいっぱい!
沖縄をバナナで元気にしたい
甘くてさわやかな香りがするアップルバナナが気に入り、6次化を視野に入れて6年前に栽培を始めました。そして3年前からスムージーの加工販売を行い、現在は5軒の農家からも仕入れて加工しています。バナナは日持ちがしませんが、冷凍しても半年以上味が変わらないので加工に向き、冷凍のままスムージーにできるのでロスが少ないのもメリットです。また、他の沖縄県産のフルーツなどとも組み合わせて味のバリエーションを増やせますし、牛乳のほか豆乳やココナッツミルクなど、いろいろな飲料と組み合わせることも可能です。スポーツイベントに出店した際は、試合前のエネルギー補給に良いと好評でした。
バナナの葉っぱや茎を畑に戻して肥料にする農家もいますが、これらから紙や糸を作ることもできるので、活用の可能性があると思っています。バナナで沖縄が元気になるようなアクションをどんどん取っていきたいです。
沖縄バナナを
加工した商品をご紹介
外国人観光客にも
大人気のバナナスイーツ
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のむバナナ 黒糖・ミルク・いちご琉球プランテーションズ
冷凍バナナと牛乳に、少量のアガベシロップと塩を加えてミックスしたスムージー。基本の「ミルク」(写真右・中央)のほか、波照間島産のサトウキビから作られた黒糖をプラスした「黒糖」(写真右・左)、や季節限定商品で沖縄県産の美ら島ベリーをプラスした「いちご」など全8種類。自然なやさしい甘さで、後味スッキリ。ゴクゴク飲めるおいしさです。400円〜。
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ワッフル
極上バナナクリーム、
本格バナナアイスクリーム琉球プランテーションズ九州産の原材料で作られたパンケーキミックスの姉妹品「九州パンケーキのワッフル」とのコラボレーション。「極上バナナクリーム」(写真左)は、相性の良いアップルバナナを混ぜ込んだクリームをたっぷりとのせたワッフル。「本格バナナアイスクリーム」は、冷たいバナナアイスとワッフルの組み合わせで、暑い沖縄にぴったりです。各500円。